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ヨシの「イヨマンテ」

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    JUGEMテーマ:合唱



     アンサンブル・フィオレッティの横浜公演、行って来ました。本当に杉林良美(写真)さんよくやってくれました。まずは当日のプログラムを。

    1ステ:「新鉄道唱歌」「すみれの花咲く頃」「悲しき子守唄」「森の水車」「南の花嫁さん
    2ステ:「愛国の花」「<めんこい仔馬」「水兵さん」「海の進軍」「大空に祈る
    3ステ:「山のかなたに」「白薔薇の歌」「丘は花ざかり」「花の素顔」「胸の振子」「フランチェスカの鐘
    4ステ:「イヨマンテの夜」「白い花の咲く頃」「黒百合の歌」「あの丘こえて」「川の流れのように
    アンコール:「マロニエの木蔭
    お客の希望でアンコール:「南の花嫁さん」「イヨマンテの夜」
     昨年の11月に長岡で久しぶりに聴いたのですが、改めて思ったことは、アンサンブル・フィオレッティは本当にアンサンブルに磨きがかかった、ということです。長岡の前に聴いたのは2002年のすみだですから、随分前になります。それに比べると本当に見違えるくらいに美しいアンサンブルになっています。
     特に良かったのは第2ステージの戦時歌謡。プログラムに「私たちは先の戦争で亡くなった方へのレクイエムとして、そしてまた戦争のいたみを忘れることなく、限りなく平和であることを願いながら、心を込めて歌っています。」と書いてあります。こういうことを書かれると却って右翼思想を感じてしまうもので、当初宇野さんが押し付けているのかと思っていたのですが、実は打ち上げに呼ばれて団員たちと同席したところ、みなさん戦時歌謡のことを喜んで話をしておられました。素晴しいことだと思います。この第2ステージ、「戦争を煽っている」ものなのか、それとも「戦争を省みる(つまり反省すること)もの」なのかは、会場におられた人だったらきっと判断のつくものと思います。
     今回は宇野さんの新工夫がありました。「海の進軍」と「大空に祈る」で、1題目、2題目を合唱で歌い、3題目をカットして4題目を驚くべきことに斉唱(ユニゾン)で歌ったのです。これはレクイエム以外の何物でもありませんね。本当に心深く歌が刻まれました。
     最後に時間があるからとお客の希望をとったのですが、「南の花嫁さん」と「熊祭(イヨマンテ)の夜」の声があがりました。他には「悲しき子守歌」もあったのですが、早いもの勝ちといった感じでしょうか。前者はやっぱりこの歌、なぜか最近流行っていることが伺われます。後者は本当に良かったと思います。私がリクエストした訳でもなかったのですが、この声が上がったときヤッタ、と思いました。
     実はこの歌の冒頭、アルトがソロで歌うのです。これを担当したのはフィオレッティ最年少の杉林良美さん。予め宇野さんから「ヨシのイヨマンテなかなかいいんだよ。」なんて言われていたですから、そこそこ期待はしていたのですが、いいってものではありませんね。これを聴くだけでも価値が本当にあると思います。
     伊藤久男など男声で歌われているのですが、実にエネルギーのいる歌であり、秋川雅史氏もこの歌を歌っているらしいのですが、氏は「この歌はテノールの技量が試される歌」と言われるくらいに難しい歌なのです。実際に豊かな声量と体力が要りそうな歌なのですが、それを女声で歌わせた訳です。勿論マイクなしでです。ところが実際に聴いてみて驚きました。アイヌの女神が舞い下りて実に切ない歌でした。アイヌは琉球とともに独自の文化を持っていましたが、歴史的には日本に併合されたところです。そうしたもの悲しさの表出が、私の心を打ったのです。このようなイヨマンテがあるなんて知りませんでした。パワーを求めたらオペラ歌手ならできるでしょうが、有山麻衣子さんの例にあるように、日本の歌には日本の歌い方がある、というのが宇野さんの持論です。この独特の歌い方は伊藤久男ともクラシック歌手の秋川雅史とも違った、他では聴けない全く別物と言っていいでしょう。
     宇野さんからは「先輩の楽員たちがヨシの上手さに驚いている。」とは聴いていましたが、本当にその通りですね。この歌は第4ステージの最初でした。第3ステージの「フランチェスカの鐘」が終わって宇野さんが引っ込んでいる時、アンサンブル・フィオレッティの先輩たちがチラリと杉林さんに「がんばれよ」と実に暖かい視線を送っていたのが印象的でした。みんなに祝福されたソロ・デビュー、アンコールでお客さんからもリクエストされたこと、本当に幸せだったことと思います。
     この「熊祭の夜」、今度は3月の長崎、そして6月の富山で歌われます。是非楽しみにしたいと思います。

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      • 2020.09.21 Monday
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      • 22:44
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      コメント
      trefoglinefan さん

      おはようございます.

      「イヨマンテの夜」.昔,のど自慢大会でよく歌われていましたね.

      勇壮な曲で,女性の人が歌っているのは記憶にありません.

      アルトの人が歌うとまた違った雰囲気が出て非常にいいかも知れません.

      富山公演でも杉林良美さんが歌われるのでしょうか.
       nekoskiさん、杉林良美さんは勿論富山に来ます。彼女を育てたくてまだ聴いてもいない「イヨマンテの夜」をプログラムに加えました。ところが実際に聴いてみて思いの外良かったです。ですから富山ではこれが最大の聴きもののひとつになるかも知れません。
       女声の「イヨマンテ」は想像できないかも知れませんが、男声とは全く別物であると思って下さいませ。
      • trefoglinefan
      • 2008/02/05 11:17 PM
      イヨマンテをアルトで歌うのですか。
      すごいですね〜。
      記事を拝読して、すごく聴いてみたくなりました。勇壮なイメージのある曲ですが、その中に「切なさ」があるとは。素晴らしい歌手の方なんですね。
      • にゃん吉ママ
      • 2008/02/06 7:00 AM
       にゃん吉ママさん、ありがとうございます。本当に驚きました。ご縁があればこの「イヨマンテの夜」を聴いて頂ければと思います。
      • trefoglinefan
      • 2008/02/06 7:05 AM
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