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侍ジャパンの敗因はクローザを確定できなかったことなどではない

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    JUGEMテーマ:侍ジャパン


     世界野球WBSCプレミア12において侍ジャパンは残念ながら準決勝で敗退しました。結果は衆知の通りで、この試合の采配ミスばかりクローズアップされています。しかしながら私には「采配ミス」以前の「人選」に問題があったと思います。
     リリーフ投手の人選を行う場合、ここ数年「良い投手を後ろから並べて勝ちパターンにする」というのが一般的になり、そうした安易な考え方で編成しているように思えてならないのです。そうしたことを以前にヤクルトの投手リレーで指摘したことがあったと思います。
     しかしながら、私はそれに対してもっと重要な役割りがある筈だと、強く言ってきました。それは「火消し」の存在です。必勝パターンを形成するのはいいのですが、それと変わらないくらいに重要なのは火消しで、同等の扱いをすべきだと主張してきたのです。火消しというのは味方がピンチを招いた際に、いつでもスタンバイして投げることのできる投手です。もし長いシーズンですと、登板するかどうかも分からないなかで肩を早い段階で作らなくてはいけないことが負担になる、という考え方がなくはありません。ところが短期決戦の場合は、そうした投手をピンチで惜しみなく投入できる態勢を作らなくてはいけないのであり、それを怠ったのが一番の敗戦の原因ではないでしょうか。
     まず今大会の投手陣の構成を見ると、先発投手とクローザの投手で、良い方からただ並べただけ、といった人選になっています。特にクローザから良い順に4人選んだのは、良い投手から順番に後ろから並べればそれで勝ちパターンの投手リレーができるという、安易な考え方に他なりません。私はまずここに問題があったと思います。左投手が少ないところに、そうした安易性が余計に感じられます。
     私がここで例として取り上げたいのは、サッカー全日本が世界に踊り出るきっかけになったオフト監督時代です。それまでの全日本の監督は、まず各チームからいい選手の11人集めて、そのなかからポジションを割り当てていました。ところがオフト監督がきっちりとした役割りのなかから、地味ながら働きのある選手を重要なポジションに抜擢しました。それが現サンフレッチェ広島の監督である森保一で、当時は誰もが驚いた全日本の選出でした。サッカー程ではないにしても、野球の投手にも役割りはもっと多岐に渡っている筈なのです。
     次にこうしたなかでも、火消し役に適した投手は居るものです。それを「このなかから抑えを誰にしようか」ということばかりに、一生懸命になっていた感じがします。大会の敗戦の理由に、「抑えを最後まで固定できなかった」などという、実に短絡的な考え方も多く聴かれますがが、そういうのも「後ろから順番良い投手が必勝リレー」という考え方が、球界全体に蔓延していることを意味しているのではないでしょうか。
     それでは誰が火消しに適切か、ということになりますが、先のような人選をしたなかで、決して居なかった訳ではありません。火消しの条件として適した投手は、「三振が取れて四球は出さない」ということです。コントロールが良いだけでなく、ボール球を振らせるだけの力のある投手が適しているのです。実はこういうのはメジャーでは指標になっています。「K/BB」で「三振/四球比」です。これを比較すると、侍ジャパンでは以下の通りになります。

    ・山崎康晃 6.00 1.17
    ・則本昴大 4.48 1.10
    ・前田健太 4.26 0.85
    ・増井浩俊 3.74 1.18
    ・松井裕樹 3.67 1.42
    ・大谷翔平3.56 1.21
    ・西勇輝 3.33 0.88
    ・大野雄大 3.28 0.74
    ・菅野智之 3.07 0.70
    ・藤浪晋太郎 2.93 1.11
    ・澤村拓一 2.86 0.88
    ・武田翔太 2.76 0.99
    ・小川泰弘 2.67 0.76
    ・牧田和久 1.5 0.48

     以上のようになります。右には参考として奪三振率も計上いたします。これから見えるのは、則本はもしブルペンで使うのであれば、火消しにこそ適した人材だということになります。奪三振率は三振数をイニング数で割ったもの(メジャーで正式に使われているのはこれに9を掛けて試合あたりにしている)ですが、一般的にリリーフ投手の方が高くなりますが、そうしたなかでも先発の則本の値は驚異的な数字だと言えます。そして左投手では松井で、この2人に山崎が火消しとしてベンチに控えていれば、先発投手もリリーフ投手も安心して投げることができたことになります。
     因みにクローザですが、増井が適切だということになろうかと思います。クローザとして大事な指標として「WHIP」というのがありますが、これは1イニングに出したランナの数になります。出したランナが小さければ、イニングの頭から投げて無難に抑えることができることになります。クローザ4人のWHIPは以下の通りです。

    ・山崎康晃 0.89
    ・松井裕樹 0.93
    ・増井浩俊 1.05
    ・澤村拓一 1.20

     成績だけを見ると山崎や松井の方が上ですが、この2人は火消しとしての能力もあり、増井もWHIPで遜色がある訳ではありません。何より増井にはリリーフをしてきた経験があります。どうしてこういった選手を信頼できなかったのでしょうか。球に力があればいい訳ではなく、クローザに求められるのは余分なランナを出さないことであり、奪三振率がそれ程高くないのにK/BBが高いということは、それだけ四死球を出していないということにもなります。増井はそれだけの投手なのです。逆にそれだけの信頼がないのならば、どうして増井をメンバに加えたのか、ということも言いたいです。ただ単にセーヴ数や防御率で松井をクローザとして良いと思ったのであれば、それは実に愚かな選択だとしか言いようがありません。
     という訳で韓国戦に限っての結果論になりますが、8回澤村で9回に増井。火消しに則本と松井、山崎がベンチに控える。澤村が心配ならば山崎、増井でも良かったのです。それから「どうして大谷を下げた」という声も聴かれますが、もし「しっかりとしたクローザ」ではなく、「しっかりとした火消し」が居たなら、大谷も打たれるまで引っ張ることができたのです。「火消しが居れば先発をぎりぎりまで引っ張れる」ということは、今年の夏にヤクルトに対しても述べてきましたが、短期決戦でしかも代打で降板することのないDH制での野球では、尚更火消しの活躍し易い環境にあるとも言えるのです。
     メジャー指標には「LOB%」というのもあり、これは出したランナを本塁に還さなかったを表します。これに関しては手元に2015年のものはありませんが、2014年で高い選手は、菅野、大野、大谷、前田、則本となっています。先発投手にしかこの数字が出ていませんが、これが高い選手はピンチを招いた際にギア・アップのできる選手で、これはこれで火消し役に向いた投手とも言えるでしょう。菅野には特にピンチでこそギアが上がるイメージがあり、私は菅野を火消しに使っても面白かったということも考えられます。
     以上から、敗因は「クローザ」ではなく「火消し」の人選をまず考えなかったこと。私はこのように結論づけたいと思います。

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