岡山シーガルズは2011〜12年のシーズンでベスト4に入ってから2012〜13年は3位、前年度は2位と着実に力をつけてきました。選手の出入りは多く合ったのですが、このチームはもともと戦力的に恵まれていた訳でなく、それを戦術で補ってきたところがあります。
もともと似通った選手がいた感じで、昨年は「誰が出ても同じバレーができる」というのを売りにしていたところがありますが、今度の大会では何だか様相が昨年度までと異なっている感じがいたします。それは選手交代ひとつで全く違ったバレーができる、という独自の戦術を開発したように見えるのです。
岡山にはもともと選手に複数のポジションを求めるバレーをしていました。それは全日本のHybrid6の発想に通じるところがあり、もともとクラブチームで戦力がないなかで、企業チームと戦う為に戦術で対抗しようとした点に、世界で戦う全日本に共通するところがあると言えるでしょう。ですからポジションに関係なく状態の良い選手から使えるようになっていたのです。
そうしたなかでワンランク上を目指すのにどのようにしたのかということですが、今春に行われた久光との試合で、2セット久光が連取した後岡山が第3セット、突如フロントオーダに変更したところ、勝手の違った久光が対応できずに岡山が1セット取り返したことがありました。試合には負けましたが、戦術に変化を持たせることで相手を混乱させる岡山独自の戦術で、何とか面目を保ったと言えると思います。
岡山の選手はバックオーダ、フロントオーダのどちらでも戦えるようになっているところが、強みではあるのですが、今年のサマーリーグや国体では、そのオーダ変更をセット中にやってしまう、ということに取組んだようです。その方法はポジションを超えた選手交代です。
川畑愛 宮下 山口
川島 卜部 佐々木
ここで佐々木萌→川畑夏希、宮下遥→吉田みなみという実に不思議な選手交代をするのです。その結果以下のようになります。
川畑愛 吉田 山口
川島 卜部 川畑夏
そうするとそれまでのバックオーダが突然フロントオーダに変身してしまうのでした。久光との国体決勝では機能せず宮下をすぐコートに戻しましたが、サマーリーグ西部大会ではフロントオーダである程度回し、相手を攪乱していたのが印象に残っています。
普通選手交代というと、調子の悪い選手のところに同じポジションの選手が代わりに入るものが多いのですが、岡山の場合は意図的にポジションの違う選手交代を行って、バレーの内容そのものを全く異質のものにしようとする場合があります。今度のリーグではこのような不思議な選手交代が多く見られることとなると思いますが、その意味を謎解きするのも、岡山の戦いでは楽しみなるのではないでしょうか。
ということなのですが、ここでの注目すべき選手を取り上げておきたいと思います。セッター対角の卜部里菜で、基本ライトですが選手交代が繰り出されるなかで、自身がレフトになったりセンターになったり、場合によってはセッターになったりして、選手交代に伴う空きポジションの補完的役割を担っています。岡山の柔軟な選手交代は、卜部と共にあると言っても過言ではないのではないでしょうか。
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