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全日本女子の新戦術:ジャパニーズ忍者が残してくれたもの

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    JUGEMテーマ:女子バレー


     世界バレーは全日本が2次ラウンドで敗退したなかで、実質消化試合となってしまった最後のドミニカ戦をどのように戦うのか、実は注目していました。前日のイタリア戦で敗退が決まったなかで、来年以降に向けた再出発というべき試合だったからです。まずはそのスターティングメンバから。

    迫田 高田 長岡
    山口 木村 中道
    筒井
     この世界バレーではWGPに出場しなかった迫田さおりをずっとこの位置で使い続けました。迫田は全日本でも珍しいバックアタックの得意な選手なのですが、対する前衛が余りにも弱く、誠に使い辛い選手となっていました。前衛でもバックアタック的なスパイクが打てるよう、スコーピオン(前衛ながら一旦後ろに下がってからバックアタック風に打つ攻撃、一旦下がってレセプションの選手の後ろを回り込む動きがサソリの尻尾に見えるのでこの名がついた)を開発したものの、これは味方にとってもサーヴレシーヴし難いフォーメーションとなり、日本の守備が乱れる要因にもなりました。そこでこの日はそのスコーピオンを実質封印して、速い攻撃を心がけてそれなりの成果がありました。
     高田ありさは疲れの見える新鍋理沙に代わり存在感を見せました。レセプション・アタッカでありながらやはり速い攻撃で、徐々に相手を翻弄していきました。中道瞳は低身長ながらセッターとしての資質は宮下遥などとは比べものにならないことが示され、途中宮下と代わった時に宮下のトスがいかにも見劣りしたのが印象的でした。
     そうしたなかで、山口舞が出てくるのかどうか、私は注目していました。今年31歳のヴェテランもいいところで、来年の全日本入りがあるかどうか分からないくらいの選手です。もし普通に考えれば若い有望な大野果奈に経験を積ませてもいいところなのですが、それを敢えて山口を使ったことに、真鍋監督の意図が感じられました。
     実際にこの日の山口は本当に素晴らしかったです。対空時間の長いジャンプでセッターからのトスを呼び込み、相手のブロックに対して駆け引きで制する空中一人時間差、左方から右端まで走り切って相手ブロックを振り切る超高速ブロード。相手のブロックの間にまるで針の穴を通すかのような瞬く間に打ち込む超高速クィック。正に緩急自在に相手の守備陣をやりたい放題に翻弄しました。おそらく日本の若手の選手に対して山口自身が、そして真鍋監督が何かを伝えたかったのだと思いますが、アタックの影に隠れて相手の攻撃に対するブロックの入り方など、手本にすべきプレイが随所に見られました。こういうのを神業というべきなのか、それ以上に勝敗さえどうでもよくなるくらいに、芸術性に満ちていて見る者がかなり癒される、そのようなプレイではなかったかと思います。
     山口は身長が176cm。MBの選手としては小柄もいいところで、時たま相手のプレイヤに身長の無さを嘲笑うかのプレイを許す場面もありますが、数々のプレイはそれを補って余りあるだけの工夫が至るところで見られる訳です。これに比べると山口より体格的に恵まれた選手は数多く居るのに、いったい何をやっているのか、と言いたくなります。山口のプレイを見ていると相手のブロックに捕まった際に、「相手の方が上手かったから仕方がない」なんて言い訳に過ぎないと思います。相手のブロックを抜く為に、何か工夫があったのですか、ということを問うているみたいです。この問いかけこそ、今年の全日本最後の試合に、残されたことではないでしょうか。
     世界バレーが終わりいよいよまた国内リーグの季節に入ります。そこでの各選手の研鑽が来年の全日本の戦い方に直結することは言うまでもないのですが、山口のような強い意図の感じられるプレイを、各選手に見せて欲しいと思います。いつまででも低身のヴェテランに頼っていては、全日本の先もたかが知れていると言えるでしょう。

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      • 2019.08.22 Thursday
      • -
      • 16:23
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      • by スポンサードリンク

      コメント
      いつもは見させてもらっているだけの山口舞選手ファンです。
      今回の記事の中で「…それ以上に勝敗さえどうでもよくなるくらいに、芸術性に満ちていて見る者がかなり癒される、そのようなプレイではなかったか…」という一文に、まさしくそのとおり〜!と嬉しくなり書き込ませてもらっています。

      パワーや高さ的には、見劣りする面は否めませんが、あの独特なスタイル、あの動き、腕から手先までの美しいフォルム…ほんとに勝敗は度外視して見てしまいます。

      年齢的には、厳しい時期になりつつあると思いますが、山口選手よりも年長で活躍している外国人選手もおられますので、まだまだ活躍して欲しいと思っています。

      • ゆめファン
      • 2014/10/22 9:39 AM
       ゆめファンさん、山口って見れば見る程、唯一無二の存在ですよね。世界中どこを探しても、あのようなプレイをする選手は居ないと思います。ドイツ戦でしたか、ライトに走ってちょこっとフェイントを決めたプレイがありました。アナウンサーが「合わないトスをよく決めましたね」と言ったのに対して、解説の竹下さんが「あれはわざとタイミングをずらしているのです」には笑ってしまいました。自分のブロードに対して相手のブロックも寄ってきたのですが、ドンピシャで打つとブロックもドンピシャになるから、寄ってきたブロックが通り過ぎるのを待って、それからちょこっと落とすなんて、相手は本当におちょくられたみたいで、ダメージも甚大だったと思います。
       ところで国体では山口とともに、卜部がまるで山口のように、相手のブロックを掻き回すプレイをしていたと言われています。体は小さいですが守備がいいですから、もし山口の後継者になれれば山口以上に活躍できるかも知れませんね。
       チーム内で切磋琢磨して、どんどん相手ブロックを翻弄するプレイを見せて欲しいと思います。
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